南投県名間郷の松柏嶺受天宮は道教の神「北極玄天上帝」を主神として祀り、一般に上帝公、帝爺公と呼ばれています。受天宮は300年以上の歴史があり、台湾の玄天上帝信仰の巡礼の中心です。毎年旧暦1月から3月に集中する巡礼行事では多くの人々が集まり、童乩から文武の陣頭芸能まで、台湾の民間信仰の活力を十分に表しています。
松柏嶺の信仰の中心、受天宮の起源伝説
1657年、中国福建から台湾に移住した人々が受天宮の現在地に簡素な家を建て、故郷から持来した玄天上帝の香火を祀ったと伝えられています。1737年旧暦3月3日に神明の指示により、信者たちが資金を出し合って小さな廟を建立し、徐々に廟の姿が形成されました。1745年、北極玄天上帝が老人に化身して鹿港の彫刻店に神像を注文し、地元の人々にお迎えに行くよう指示しました。松柏坑の地元民は廟の拡張を話し合い、「受天宮」と命名しました。
廟建築の古典、交趾陶の伝統工芸
受天宮は東北から南西に向かって建ち、敷地は400坪余りと広大です。廟門の扁額に掲げられた金色の「受天宮」の三文字が雄大さを表しています。また、建物には赤鉄鉱(ヘマタイト)や螺渓石が多用され、全体的に非常に華麗な造りとなっています。屋根の交趾陶は名匠の謝東哲、林明必の手によるものです。神蹟の様々な物語が生き生きとした彫刻として表現されており、台湾の廟建築芸術の古典として一見の価値があります。

受天宮は松柏嶺の高所に位置するため、廟前の広場からの眺望が極めて良く、平原、青山、緑の谷、遠くの家々、縦横に走る田畑などあらゆる美しい景色を一望できます。「松嶺遠眺」は古くから南投八景の一つに数えられています。
