八堡圳は台湾の初期の重要な水利工事の一つでした。濁水渓から彰化平原へ灌漑用水を引いたため、八堡圳は濁水圳とも呼ばれています。「八堡圳の緑の回廊」は、この水路に沿って、田畑に囲まれた静かな景観の中に位置しています。
サイクリングと散歩の穴場スポット
八堡圳緑の回廊は昔から地元の人々のサイクリングや散歩の穴場スポットでした。八堡一圳沿いでは、道路の両側にモモタマナがこんもりとした木陰を形成し、収穫時期には黄金色の稲穂が風に揺れる様子を遠望でき、典型的な台湾の田舎の風情を体現しています。このコースはかつて田中マラソンのコースでした。蛇行する水路沿いをランナーが駆け抜ける快適さと悠然さに思いを馳せることができます。
水利の発展から生まれた民間信仰
途中で必ず立ち寄る「世芳宮」は、八堡一圳と二圳の分岐点に位置します。廟の主神である林媽娘娘は水利の守護神として崇拝されています。特徴的なのは、この廟の参拝者の多くがグアバを供物として使うことで、かつては供えることが禁忌とされていた果物も、時代の変遷とともに世芳宮独自の特色となりました。同じく八堡二圳流域にある「林先生廟」では、施世榜氏の八堡圳建設を助けた林氏を主神として祀っています。伝説では、その人物が水路の引き方を教えた後すぐに姿を消し、後世の人々が廟を建てて祀ったとされています。また別の説では、林氏は林媽娘娘の化身であるとも言われており、地域の発展と庶民社会の絆が強力な信仰の力を生み出したことが推測できます。
日本統治時代の古民家めぐり
廟の参拝後は、ぜひ古民家めぐりも。八堡二圳と大社路沿いにある「田中蕭雲章邸」は日本統治時代に建てられたものです。蕭雲章氏は田中地区の重要な指導者でした。この邸宅の建築様式では日本の官舎と閩式建築を融合し、さらにファサードに西洋古典主義の対称性、幾何学的要素など取り入れられた稀少で特色のある建物となっています。