「思源埡口」は台中市と宜蘭県の県境に位置し、標高1948メートル。中央山脈と雪山山脈が唯一交差する地点であり、「大甲渓」と「蘭陽渓」、二大水系の分水嶺でもあります。この地は気候の変化が大きく、景色も魅力的です。冬にはしばしば雪が降り、高山の雪景色を楽しめる人気のスポットとなっています。霧に包まれた山林の景観と四季折々の自然の表情に加え、泰雅族(タイヤル族)の遷徙(移動・移住)や文化交流の歴史的背景もあり、「思源埡口」は自然と文化が融合する必見のスポットとなっています。
雲海・雪景・森林浴-変化に富んだ林相と気候景観
「思源埡口」は壮観な鞍部(あんぶ)地形を有し、北側では東北季節風の影響により一年を通して湿って冷たい気候が続き、南側は乾燥して晴れる日が多く、対照的な生態環境が見られます。標高の高い場所には紅檜(台湾ヒノキ)や扁柏(台湾亜種のヒノキ)、低地には香楠(クスノキ)や烏心石(オガタマノキ)などが見られ、まるで“生きた森林教室”のような特異な自然景観が広がっています。
台7甲線沿いを走ると、天気の良い日には「蘭陽渓谷」を遠望することができ、春の午後には幻想的な「雲海」の絶景に出会えることもあります。冬には南湖大山を包む「雲景」を眺めることができ、「思源埡口」では雪が降る確率も高く、一面の銀世界が広がる光景に出会えるかもしれません。ここは四季を通じて高山生態系を楽しみ、自然の美しさを体験するのに最適なスポットです。
「飲水思源」-足元に残るタイヤル族の足跡
かつて「埤亞南鞍部」と呼ばれていた「思源埡口」は、中央山脈の南湖大山と雪山山脈が交差する地点に位置し、かつては泰雅族(タイヤル族)が山を越えて「蘭陽平原」へ移動する際の重要な通り道でした。またここは「大甲渓」の源流地でもあり、「飲水思源(水を飲むときはその源を思え)」という言葉が示すように、人々に原点を忘れないよう語りかけてきます。
この道を歩けば、まるでタイヤル族の祖先の足跡をたどっているかのよう。壮麗な山林に息づく文化の物語と歴史の気配を、肌で感じることができるでしょう。自然を愛する方、雲海や雪景色の撮影が好きな方、静けさに包まれた山の旅を求めている方、どんな方にとっても、「思源埡口」は一度は訪れる価値のある秘境の美地といえるでしょう。