六寮古道は獅頭山風景区の中でもよく知られる後山歩道です。入口は獅山ビジターセンターの横で、古道の前半はアクセスが便利で平坦なアスファルト道路ですが、後半は山道本来の様子を留めています。歩道は六寮渓に沿って設けられ、河の水流による侵食地形の「甌穴(ポットホール)」や有名な七星神木などを見ることができ、見所の多い登山道となっています。
六寮の原点 金廣福墾号による開墾の足跡
1835年、李嗣鄴、姜秀鑾、周邦正らにより結成された開拓団「金廣福墾号」は、数百人を率いて北埔、峨眉、宝山一帯を開墾しました。また、36か所の隘寮(見張り小屋)を設けて先住民のサイシャット族との衝突に対抗しました。「六寮」という地名は「六つ目の隘寮」を意味し、この防御のための工事に由来します。現在では、当時の争いの痕跡は見えない代わりに、さらさらと流れる小川と史跡を見ることができます。
天然の地質教室 河川浸食による甌穴
六寮古道は甌穴(ポットホール)の景観がよく知られています。古道に沿うように流れる六寮渓は川底まで澄み、注意深く見ると川底のあちこちに甌穴が見つかります。雨水による増水の際に流されてきた上流の石がくぼみに入り込み、水流によってその場で回転し、長い時間をかけて川底に丸みを帯びた穴となったもので、ユニークな侵食地形が形成されました。
七星神木 根で繋がる親子クスノキ
歩道後半には有名な七星神木があります。これは一組の「親子クスノキ」で、親木の樹齢は約400年、子木の樹齢は約100年。同じ根から7本に分かれた株立ち樹形のためこの名が付けられました。土地公またの名を「福徳正神」は、客家人からは「伯公」と呼ばれています。伯公廟には通常ガジュマルやクスノキがあり、土地神のご加護があると信じられていることから、現地の人々は今でも親子クスノキを「伯公樹」として大切に祀っています。
六寮古道と獅山古道は平行に進み、途中で下に降りて藤坪歩道を進むこともできます。または、海拔がさらに高い猿山歩道に挑戦して七星亭まで行き、そこから繋がる獅山古道を進み、獅子の尾や頭の方向へ向かうこともできます。歩道は長いものの平坦なのでハイキングに最適です。